夕刊が入った時、何か落ちる音が聞こえた。
あー、そういや、夕刊が入る前に郵便物来てたっけ。
後でいいや~と思って、そのまま忘れてたけど、
トイレに立ったついでに夕刊と郵便物を取って来た。
玄関には二枚のハガキが落ちてた。
更に夕刊を引き抜くと、もう一枚、ハガキが落ちた。
薄暗くてよく見えんかったけど、喪中ハガキってのは分かった。
部屋に戻ると、見覚えのある名前の人から送られて来てた、けど、アレ…?
よくよく見てみると、それは奥さんから送られて来たもの。
夫が永眠しましたと書かれてる…と言うことは…
高校を卒業して勤めに行ってた企業で一緒に働いてた人やった。
その人は定年退職され、それ以降は会うこともなかったけど、
年に二回、暑中見舞いと年賀状だけのやり取りが続いていた。
今年の夏も暑中見舞いが届いてたのに…
職場に居たはった頃から、筆ペンを愛用されてて、
表示なんかも筆ペンで書かれてた。
書類はさすがにボールペンを使ってはったけど、
やけに太いボールペンで、大きい字で書いてはったのを思い出す。
頂くハガキの文字も筆ペンで、大きな字で書いてはった。
ああ、そう言えば、一度だけ、電話で話したこともあったっけ。
あれが最後の会話になろうとは…
勤めてた当時から足が悪く、いつも腰が痛い痛いって言うてはった。
いつ何時も軍手をはめたまま、トイレに行く時も、
奥さんの手作り弁当を食べる時も軍手をしたままやったから、
家でも軍手してるんかなぁ?って思ったこともあったっけ。
(帰宅時には外してはったけどね)
こうやって書いてると、色んなことを思い出して涙が出そう。
この世に生まれたからには、いつか死ぬと分かってても、
死に対する免疫なんて付く筈もなく、心にポッカリと穴が開いたみたい…
Mさん、筆ペンを見たらきっと貴方を思い出します。
いつまでもウチの心の中で生き続けてると思います。
世間なんて知らんかったあの頃、色々教えて下さって有り難うございました。
貴方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
【追記】
ホンマやったら直接行って線香をあげたいところやけど、
奥さんと面識の無いのにいきなり行っても迷惑やろうし…
でも、居ても立ってもおられんくなってきたんで、母に電話で相談した。
熨斗のことを偉そうに書いてる割には、冠婚葬祭には疎いんです(ノ∀`)
後は、一人に耐え切れんかったと言うか、誰かに聞いて欲しくて。
名前は知らんくても、あの筆ペンで書かれたハガキは母も知ってた(苦笑)
あの独特なハガキはもう届くことは無いんやなぁ…